ニュース&トピックス

2021.06.09 外部記事

大学の奨学寄附金、「廃止含め見直し」を【RISFAX:2021年4月16日】

大学の奨学寄附金、「廃止含め見直し」を【RISFAX:2021年4月16日】

財務省 透明性向上を要求、21年度中間年改定「完全実施と言えない」

財務省は15日の財政制度等審議会財政制度分科会で社会保障に関する論点を示し、そのなかで大学への奨学寄附金について「廃止を含めあり方を見直す」よう求めた。三重大学医学部附属病院で起きたオノアクト事件などの具体例は明示しなかったが、奨学寄附金と「大学病院における薬剤の適正使用との関係性がかねて注目されている」と指摘。製薬業界でも自主的に「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を改定するといった取り組みを進めているものの、「院内処方や先発品使用との関係についても疑念が生じないようにする必要」があると訴えた。製薬企業からの資金提供の実態について、「一層の透明性を高める必要」があるとの考えを示している。

 

財務省は奨学寄附金の現状に関し、各社の公表データをもとに、19年度は「国内売上高上位10社で72億円(1万1355件)と算出。『東洋経済』の20年8月の調べで、17年度は「71社で総額200億円」とされていることにも触れた。

 

21年度の薬価・中間年改定(毎年改定)にも言及した。今回は、全品目の7割を対象に行われたが、2年に1度実施してきた「これまでの改定より狭い」ことや、「長期収載品の薬価改定(G1、G2、C)」「新薬創出加算の累積額控除」といったルールが適用されず「毎年薬価改定が実施されたとまでは言えないことから、こららの点を見直し、完全実施を早期に実施すべき」と主張。「コロナ特例」として設けた引き下げ緩和の一定幅(0.8%)は「21年度改定限り」とクギを刺した。

 

薬剤費の適正化をめぐっては、承認された新薬が事実上すべて収載されており、「財政影響は勘案されておらず、予算統制の埒外。財政の予見可能性が失われている」と指摘。そのうえで「保険適用された医薬品に対する予算統制のあり方を抜本的に見直し、正常化を図るべき」と訴えた。

 

新薬の薬価算定ルールに関しても、事細かに課題を列挙。新規性の乏しい新薬に用いる類似薬効比較方式Ⅱで「類似薬に後発品が上市されている場合はその価格を勘案して定めるべき」と主張した。原価計算方式で算定する際、過去の平均的な営業利益率に補正加算を上乗せするという重畳的な加算になっているとして「薬価に反映する営業利益の水準を適正化すべき」とした。さらに、有用性加算Ⅱについて「製剤における工夫」を除外するといった要件の重点化に加え、原価計算方式で新規性の要件を充足しない場合には「減算するなどの仕組みを導入すべき」と見直しを求めた。

 

記事利用許諾番号:Z32357
RIS on the WEB<https://risfax.co.jp/