ニュース&トピックス

2023.12.29 FINDAT、薬局での活用

日本調剤薬局店舗への展開 ~コラム Vol.10~

日本調剤薬局店舗への展開 ~コラム Vol.10~

日本調剤社内周知の一貫として、FINDATのことをより知ってもらうために「FINDAT通信」の配信を行い、実際に配信したコラムメールを一部改変してニュース&トピックスの記事としてお送りして参りました。第10回目の今回が最終回となります。これまでお読みいただき、ありがとうございました。

FINDAT誕生の裏話

FINDAT事業部の上田です。コラム最終話では、FINDATが誕生した裏側のお話をしたいと思います。

2019年4月にフォーミュラリー事業推進部として、FINDAT事業の準備がスタートしました。客観的な医薬品情報の提供は薬剤師の職能と考え、日本調剤の薬剤師が英国のような薬剤師主導の情報提供のネットワークを構築するという構想を、顧客にどのように提供するのか?というビジネスの検討が始まりました。事業部発足から1年2か月後、2020年6月にはWEBサービスがローンチし、弊社ならではのスピード感のある事業展開であったため、設立についてはあまり知られていないかと思います。

英国の薬剤師がモデル

なぜ英国のシステムをモデルにしたのか?という質問については、私自身が英国へ大学院留学し、(写真は、2001年のロンドン大学の卒業式の写真です)英国の薬剤師免許を取得して、病院と医薬品情報センターで勤務していた際に、英国の薬剤師による医薬品情報提供ネットワーク(UKMi 現在は、NICEやSpecialist Pharmacy Serviceに統合)について深く感銘を受けたからです。

英国では、20年以上前の2000年代で医薬品の情報源はほとんどペーパーレスとなり、病院にDI室があるのは日本と同じでしたが、地域の家庭医や薬局薬剤師の問い合わせに対応するUKMiが運営する「地域医薬品情報センター」が設置されていました。臨床現場では、British National Formularyと呼ばれる1950年代から出版されるナショナルフォーミュラリーの情報を元に薬物治療が行われ、医薬品に関わる課題は、UKMiで解決されていました。そのような、薬剤師発信の情報提供のサービスを弊社でビジネス化できないかというのが本事業の始まりです。

フォーミュラリーの作成・承認には、多くの有識者の方の協力を得ています

2019年、すでに事業部では、協会けんぽ静岡支部の受託事業で地域フォーミュラリー作成支援事業を進行し、事業目標は日本でフォーミュラリーを広めること、そしてフォーミュラリーには薬剤師が中心的な役割を果たすことでした。

各病院や地域で作成するにはマンパワーが不足しているフォーミュラリーをFINDATが代替して提供できるよう、「標準フォーミュラリー」をゼロからつくり始めました。フォーミュラリーは医師をはじめとする他職種で議論・承認されるべきものであり、フォーミュラリー検討有識者委員会を独自に設立しました。FINDATに掲載しているフォーミュラリーは全て、フォーミュラリー検討有識者委員会で承認を得たものです。

2019年11月に第1回委員会を開催し、推奨度決定するための手順から議論をはじめ、これまで24回(2023年12月時点)に渡り開催してきました。委員会では、新規または更新フォーミュラリーの申請時、弊部の社員が準備したプレゼンテーションを行い、委員の先生に議論いただいています。

新薬をいかに必要な患者に届け、臨床的な必要性は科学的根拠に基づいていることが重要でありますが、客観的な情報がほとんどないのが日本の現状でした。そこで、聖マリアンナ医科大学病院の薬事委員会で運用されていた「新薬評価」をモデルに「新医薬品評価書」というコンテンツを開発しました。これまで、100件以上の新薬や適応症追加評価が公開され、50名以上の先生に*外部査読を受けています。

FINDATは、「頼れる情報」として、病院・薬局・大学での活用を目的としています。

情報量が多いことがFINDATの特長でもあり、とっつきにくい面もあると思いますが、他の情報源と使い分けていただき、同種同効薬や新薬の情報が必要な時には、まずFINDATで検索いただけますと幸いです。

*「新医薬品評価書」・「適応症追加評価書」の査読を社外の薬剤師に業務委託

FINDATのロゴの由来

FINDATのロゴマークは、科学者としてもなじみのある六角形のモチーフと整理された情報が提供されるイメージを表しています。

FINDATの命名は、事業部内で検討した案を用いて関係部署にアンケートを行いました。最終選考では、「DItlas(ディートラス)」と「FINDAT」が残りました。本事業をDIのみならず、医療への貢献の意味を持たせるという目的で、支持が多かった「FINDAT」にしました。出願から、1年以上かかりましたが、2021年3月に日本調剤の商標として登録されています。

FINDATは、「見つける(find)」と「地図(atlas)」をかけ合わせた言葉であり、医療の道しるべになるべく、事業をこれからも継承してまいります。