岡山赤十字病院 様

INTERVIEW

代替薬提案で頼れる存在。共通の情報源としてFINDATの普及に期待

FINDATを導入して約半年となる岡山赤十字病院。医薬品情報を検索できる新たなツールとして、病棟業務での利便性を実感されています。FINDAT導入直後ならではの率直な印象や活用のアイデア、今後の医薬品情報におけるFINDATへの期待などを、薬剤部部長の森英樹先生(写真中央)、病棟業務を担当する花房伸幸先生(写真右)、小池彩子先生(写真左)に伺いました。

中立的に医薬品情報を集約・評価するFINDATに信頼性と可能性を感じて導入

岡山赤十字病院 様 インタビュー風景

貴院では、すでにフォーミュラリーを作成されています。そんな中、FINDATを導入されたのはなぜでしょうか。

森先生

私は日赤薬剤師会の会長でもあるので、各病院の事情を伺う機会があります。日本赤十字社(日赤)は、現在全国で91の病院を運営しており、その規模は100床以下から約1,000床とさまざまです。規模の大きな病院では比較的DI業務にも取り組みやすいようですが、マンパワー不足などで苦労しているところも少なくありません。

FINDATの有用性については、すでに地域フォーミュラリーに取り組んでいる病院から伺っていました。日赤薬剤師会でも、全国の病院で参考にしてもらえるように、以前から独自のフォーミュラリーを作成しています。だからこそ、医薬品情報の収集や精査、資料の作成がいかに大変か実感しています。

ですので、第三者的な組織で医薬品情報を集約・評価しているFINDATは、情報の質が担保された確かなツールだという手応えがありました。各病院の薬剤部業務でも活用できるのではないかと考えて、当院でも導入し、薬剤部のスタッフに使ってもらうことにしたんです。実際に手応えを感じ始めているので、他の日赤病院での活用を後押ししていきたいですね。

例えば、地方の小さな病院だと高齢の患者さんが多いのですが、「第一推奨薬なので、みなさんにおすすめしているんですよ」と言うと、安心して飲んでもらえます。その裏付けとしてもFINDATは活用できると思っています。

「標準フォーミュラリー」と「薬効群比較レビュー」を病棟での代替薬提案で重宝

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FINDATを使い始めた当初の印象をお聞かせください。

花房先生

FINDATを使い始めた際は、今どのような薬が世の中にあり、それぞれがどのように位置付けられているのかが非常にわかりやすいと感じました。また、「薬効群比較レビュー」の機能では薬効群の踏み込んだ比較もされていて、とても参考になります。

病棟では、医師や看護師からの問い合わせへの対応に多くの時間を割いています。FINDATは、病棟業務を担う薬剤師にとって、情報収集や答えの出し方をサポートしてくれるツールだと感じました。

業務の中で、特にご活用いただいているコンテンツはありますか?

花房先生

病棟薬剤師の主な業務として、入院患者の持参薬の鑑別があります。鑑別報告書をつくり、主治医に情報提供するんです。その中に当院で採用していない薬があれば、医師から代替薬の提案を求められます。

私は呼吸器内科と眼科の混合病棟を担当していますが、例えば糖尿病や循環器、透析患者用の薬などあまり馴染みのない併存疾患の薬を扱うケースもあります。医師からは、こうした専門外の医薬品に関する問い合わせが多く、FINDATの情報も参考にしています。

小池先生

私は消化器内科と肝臓内科の患者が多い病棟を担当していて、やはりFINDATは代替薬提案の際に重宝しています。特に「標準フォーミュラリー」と「薬効群比較レビュー」を活用していますね。

当院は採用薬の数が多く、同効薬に複数の製品が採用されていることもあります。その中から1つを選ぶ際に「薬効群比較レビュー」を参考にできれば、薬剤師として1年目でもベテランでも個人的な技量に左右されることなく、同じ根拠に基づいて話ができます。

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花房先生

実際に私の後輩が、ある薬の代替薬を提案する際に「薬効群比較レビュー」を活用した事例があります。まず医師が危惧するのは副作用ですが、FINDATの情報を参考にしながら副作用が起こりにくい同効薬を提案していました。

森先生

医師への処方提案は、特に新人の薬剤師にとっては緊張する場面なので、FINDATによる裏付けがあれば心強いでしょうね。

使い心地や操作性はいかがですか。

小池先生

薬剤部にいるときはパソコンがありますが、病棟には院内スマートフォンしかありません。ログインする手間があったり、画面が小さかったりと、最初はやや負担に感じていました。

ですが、FINDATの情報をPDFでダウンロードできることがわかったので、すべて電子カルテに落とし込み、ログインせずに確認しています。また最近、一部の病棟でタブレットが導入されたので、今後は新しい情報にも大きな画面で即時にアクセスできるのでは、と期待しています。

森先生

FINDATは、掲載されている情報量が年々増えていますよね。情報量が多くて読み物としてとても参考になる反面、場面によっては欲しい情報に即座に辿り着けないこともあると思います。いずれはAIを活用して、対話型の検索で探している情報にたどり着けるようになると、なお便利になりますね。

実践的な思考を育てられる、新人教育の教材としても期待

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先程お話しいただいた代替薬の提案の他に、FINDATが役立ちそうな場面はあるでしょうか?

花房先生

新人教育ですね。学生から薬剤師になって働き始めた当初は、具体的に薬剤師がどのような業務をしているのかあまり理解できていないと思います。薬の知識は学んでいても、例えば「こういうエビデンスがあるから、この薬が第一選択薬になる」といった実践的な考え方については、学ぶ機会がほとんどありません。

教育には指導者側にも準備が必要なので、「薬効群比較レビュー」などを教材にできれば、新人教育に伴う指導側の負担を大幅に軽減できそうです。実務的な思考のプロセスをトレーニングできるツールがFINDAT内にもしあったら、さらにありがたいですね。

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小池先生

「新薬評価」の機能では、医薬品の添付文書の内容に加えて、その医薬品が当該領域でのガイドラインでどう評価されているのか確認できます。新薬が登場するたびに、添付文書やインタビューフォームを読み込むのは大変なので、さまざまな情報源からポイントがまとまっているのは助かりますね。

また、院内にいると薬価などの情報は、どうしても意識しにくいものです。その点、FINDATでは新薬を使用する場合と既存治療薬の場合で薬価比較もできるので、薬剤師が経済性を意識するきっかけにもなるのではないでしょうか。

普段触れる機会が少ない医薬品について尋ねられると、ベテランでもあたふたします。それに、日常業務をこなしながら新しい情報を学ぶのは、やっぱり大変です。FINDATがあれば、勤務経験の長い薬剤師も新たな視点で情報を収集して、知識をアップデートできそうです。

誰もが知る医薬品の情報源として、FINDATの普及に期待

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貴院では、どのようにフォーミュラリーを運用されていますか?

森先生

当院では、日赤薬剤師会で作成する以前から、一部の領域で独自に作成したフォーミュラリーを運用しています。フォーミュラリーの作成は大変な労力を要する作業ですが、薬剤師にとって非常に勉強になりますし、職能を発揮する機会でもあるんです。

小池先生

主に病棟向けに作った、小規模なフォーミュラリーもあります。例えば、新人の看護師でも半年くらいで夜勤に1人で入ることがあるので、そうした場合に適切な薬がどれか迷わないように、病棟の配置薬の中から推奨する順番をフローチャートで分かりやすくまとめました。

森先生

フォーミュラリーに正解はなく、各医療機関が置かれた環境やそのフォーミュラリーが目指すところによって、異なる内容になるでしょう。各病院で扱う医薬品は、病院の規模や方針、地域の事情などでも異なりますから。

例えば当院では、病床数のわりに採用薬の数が多くなっています。これは、かかりつけ医で処方されていた薬は入院後もなるべく変更しないほうが、患者さんにも地域の先生方にとっても、利便性が高いという考えに基づいています。

小池先生

当院では、薬剤部で代替薬提案をした医薬品をリストアップしています。データを半年分ほど蓄積したところ、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、抗アレルギー薬など、当院未採用で持参が多い医薬品がありました。現在はFINDATなどを参考にしながら代替薬提案をしていますが、将来的にはこれらの医薬品の採用を検討する可能性もあります。

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森先生

独自に作成したフォーミュラリーとFINDATの標準フォーミュラリーを照らし合わせると、推奨の背景についてより理解が深まったり、新たに見えてきたりするものがあるかもしれません。

貴院では災害救護の活動もされていますが、そういった場面でもFINDATはお役に立てそうでしょうか?

森先生

災害地に最初に行くのは外科系医師であることが多く、救護未経験の薬剤師が同行したとしても救護薬について詳細を把握できるように、FINDATの情報を活用できるといいかもしれません。ただ、電波がない場合も多いので、事前に情報をPDFに落として持っていく形が良さそうですね。

最後に、これからのFINDATに期待することをお聞かせください。

森先生

今日では各分野で診療ガイドラインが策定され、新しいエビデンスに基づいて改訂を重ねています。治療の標準化が、安全性や経済の面からも推奨されています。

ですから、医薬品情報も現時点での標準的な治療に応じてバーションアップしなければなりませんし、客観性や中立性の高い情報であることが求められます。さらに、マンパワー不足や働き方改革の中では、誰にとっても医薬品情報が見やすいことが重要です。

ただ、日々更新される膨大なガイドラインや医薬品情報を各医療機関で取りまとめるのは、難しいですよね。だからこそ、専門的な組織を設けて医薬品情報の集約や評価に取り組むFINDATの意義は大きいと思います。

まずは、代替薬を選択する際の参考資料など、薬剤師の実務的なツールの1つとして、フォーミュラリーやFINDATがもっと知られてほしい、普及してほしいと考えています。

さらに将来的には、FINDATが薬剤師だけでなく医師にも認知され、「この情報、FINDATに書いてあったよね」と言われるような、広く信頼される共通の情報源になることを期待しています。

病院概要

名称
岡山赤十字病院
所在地
岡山県岡山市北区青江二丁目1番1号
開設年月日
昭和2年5月
病床数
500床
診療科目
総合内科、血液内科、糖尿病・内分泌内科、膠原病・リウマチ内科、腎臓内科、消化器内科、肝臓内科、呼吸器内科、循環器内科、脳神経内科、緩和ケア科、脳卒中科、精神神経科、小児科、外科、消化器外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、心臓血管外科、整形外科、リウマチ科、脳神経外科、脳血管内治療外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテ-ション科、形成外科、放射線科、麻酔科、ペインクリニック科、歯科、救急科、病理診断科