桑名市総合医療センター 様
INTERVIEW
日々の業務でFINDATを活用、効率と質の変化に手応え
薬剤師の人手不足や、将来的なフォーミュラリーへの対応を背景にFINDATを導入された桑名市総合医療センター。現在では日常業務のさまざまな場面でご活用いただいています。今回は導入の経緯やFINDATを利用した業務の実際、導入から2年が経過した今お感じになられているFINDATの利便性について、薬剤部の伊藤久美子先生と河村理沙先生にお話を伺いました。
業務の効率化で人手不足を乗り越えたいとFINDATに注目、運営部門からの後押しも
FINDATの導入を検討されたきっかけや、導入前の印象をお聞かせください。
伊藤先生
2年ほど前に薬剤師の育休や産休が重なり、人手が足りずとても困った時期がありました。そこで代替薬剤師派遣サービスの利用を検討した際に、FINDATについても案内を受ける機会があって。以前からフォーミュラリーには関心がありましたが、FINDATについてはそこで詳しく知ることになりました。
河村先生
当時は診療報酬改定との兼ね合いで、フォーミュラリーの話題を目にする機会が増えていました。しかし当院では薬剤師が減っており「どうやってフォーミュラリーにまで手をつければよいのだろう」という不安も。
説明を聞いて、FINDATの標準フォーミュラリーが活用できそうだと思いましたし、他のコンテンツもDI業務に役立ちそうとの印象がありました。
導入にあたって、ご苦労されたことはありましたか?
伊藤先生
FINDATを案内してもらった場には人事や総務、経理部門のスタッフも同席していたので、「導入すればDI業務の時間や手間が削減できて、他の業務にあたる時間を増やせるのではないか」という共通認識が生まれました。
また、他部門のスタッフもフォーミュラリーに診療報酬がつく可能性を知っていたので、最初から理解が得られて前向きに検討できたことは大きかったです。
河村先生
導入前には、他の医薬品情報データベースとの比較検討も行いました。FINDATは情報の中立性と信頼性が高く、日本語仕様であり誰にでも使いやすいことや、費用面でも負担が軽いという点が確認できたので、初回の案内から数か月でスムーズに導入に至ったと思います。
質が担保された情報で、要点をすぐに確認できるのがFINDATの魅力
現在、医薬品情報の収集やDI業務はどなたがどのように行われていますか?
伊藤先生
当院の薬剤部は中央業務、外来化学療法、病棟の3部門に分かれていて、DI業務は中央業務の1部門で、河村先生とサポートの薬剤師1名ほどで実施しています。専門性が高く時間のかかる業務や外部への問い合わせが必要な業務は主に河村先生が担当しますが、他の薬剤師も業務内で必要な情報は各自で調べています。
各病棟には病棟薬剤師が常駐できるサテライトスペースがあり、パソコンやタブレットを配置。そこからFINDATも利用できます。
河村先生
医薬品情報の収集に関しては、FINDATをはじめ、PMDAや医療用医薬品の供給状況のデータベースなどを毎日チェックしますし、他の医薬品情報サイトも見ています。当院ではUpToDateⓇも使えますので、病棟薬剤師はよく利用していて、情報を共有してもらうこともありますね。
薬剤師はどなたもFINDATを使うことができるのですね。では、使用頻度の高いコンテンツはありますか?
河村先生
私は新薬評価をよく使います。院内の先生方は新薬の採用に意欲的で、採用申請が多数提出されます。ですが、薬事委員会に向けて多くの新薬の情報を集め、その妥当性について資料をつくり検討するのには、かなりの時間と労力が必要で。
FINDATの新薬評価では有効性や安全性などの要点がまとめられていて、知りたいポイントを一度に確認できます。国内外のガイドラインで新薬や同種同効薬がどのように評価されているのかがわかりますし、外部の専門家による査読も入っていますので、第三者目線で評価された客観的な情報であることは大きな安心材料です。
また、院内にすでに同種同効薬の採用薬がある場合には、申請された新薬と勘案しながら、採用の必要性やタイミングについて先生方とあらかじめご相談する機会もあるので、そこでも新薬評価の情報が頼りになりますね。
その他に、よく使われるコンテンツはありますか?
河村先生
薬効群比較レビューも使っていますね。授乳婦や妊婦にどの薬を使えばよいのかという相談があった際には、比較表としてまとまっているものをお見せしながら、使える薬をお伝えしました。
また、院内の採用薬には種類に限りがあるので、患者さんの持参薬を採用薬に切り替える場合に、薬剤師から「うちのこの薬にしようと思うんですが、どうでしょうか」とよく相談されます。その際にも、薬効群比較レビューの中にある適応症・用法用量比較の一覧や、掲載があれば換算表が役に立っています。換算表は、これからもっと多くの薬効群で掲載されるとありがたいですね。
私は医薬品情報自体を見ることが多いですが、伊藤先生は費用対効果など経済性の検証にも活用されていますよね。
薬効群比較レビューは、経済性や費用対効果の検討にも有用
伊藤先生には、どのような目的でどの項目をご使用いただいていますか?
伊藤先生
FINDATの薬効群比較レビューでは、薬価や適応症ごとの1日薬価も見ることができます。今は同種同効薬が多く登場していて、経済的な観点からも必要性や優先順位を考えますので、実はかなり頻繁に見ていますね(笑)。
また採用薬の見直しにおいても、薬効群比較レビューは便利な情報源になっています。使用期限が切れている薬や処方される機会の少ない不動薬があれば、同種同効薬を調べて適応や院内でのニーズを確認しながら、入れ替えや採用の中止を検討しています。
これまでにFINDATも参考にしながらPPI、あるいはインスリンやSGLT2阻害薬などの糖尿病用薬で採用品目の整理を行いました。それほど大きなトラブルもなく、比較的スムーズに受け入れられていると感じます。
管理者としては、有効性や安全性とともに経済性も日常的に必要な情報ですので、それらを1カ所で横並びに確認できるのは心強いですね。
ありがとうございます。では、業務の効率化において、FINDATはお役に立てているでしょうか。
伊藤先生
私自身は、FINDATを導入してから「調べる」という機会自体が増えたという自覚があります。
複数の薬剤を横断して調べたい項目があるときに、それぞれの添付文書や製品概要などボリュームのある情報源を逐一あたらなくても、まずFINDATを開けば「それらをまとめたものに短時間でたどりつけそう」という期待がありますね。実際に、情報を入手するまでの負担は確実に減りましたし、費やす時間も短くなったと感じています。
また、新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、製薬メーカーの方と直接お会いする機会がかなり減りました。このため、以前はちょっとした会話の中で得ていた新薬の情報などが入りにくくなったような気がしています。ですので、FINDATの新薬評価から新しい情報を得ることもありますね。
河村先生
効率ではなく質に関してですが、薬事委員会に提出している資料を見ますと、FINDATを使うようになってから、私が単独で調べてまとめていた時期よりも公正かつ質が高くなったと感じています。
毎日の業務の質と効率を支えるFINDAT、自己研鑽での活用も
日常的にFINDATをお使いの先生方ですが、FINDATはこれからの薬剤師業務において、どのような存在になり得ると思われますか?
伊藤先生
勤務経験を重ねた薬剤師は、それぞれに得意な領域とか経験が豊富な分野があるでしょう。でも勤務経験が浅かったり、ベテランであっても配置先が未経験の病棟であるような場合、多くの薬について短期間で知識を得て使っていかないといけない。また、個々の薬を詳しく知るだけでなく、たとえば投与回数や腎機能への影響など、同種同効薬の特徴や違いも押さえておきたい。
FINDATではそういった情報が横断的な一覧になっていて、一目で確認できますので、そこから違いや注意点がみえてきます。私が1つずつ説明するより、まずはこれをみて覚えてもらうほうが良いと思うぐらいです(笑)。
河村先生
要点を本当によくまとめてくれてありますし、より深いことが知りたければ、根拠になっているガイドラインや論文へワンクリックでアクセスできるのも便利ですね。
伊藤先生
どのガイドラインを根拠にしているのか、ということ自体が参考になりますし、ガイドラインの改訂にも随時対応しているので、情報の新しさにおいても安心感があります。
今後、FINDATをさらにどのように活用されていきたいか、お考えをお聞かせください。
河村先生
若い先生方から同種同効薬や等価換算について質問を受けたときには、FINDATの一覧表をまず渡して「もっと詳しいことも掲載されているよ」とアドバイスしています。FINDATを通じて、薬剤を系統立てて理解してほしいですし、そのために薬剤部員全体で活用していきたいですね。
伊藤先生
目の前の業務に追われがちな薬剤師は、情報収集を行う際にも、それが業務ですぐに必要なのか、自己研鑽として学ぶのか、分けて捉えるとよいかもしれません。
誰でも時間をかければ多くの情報を得られるけれど、業務に関係する情報を探す場合、質が担保されている情報源があるのなら、そこから効率よく自分に取り込む。そして業務へスムーズに反映することも大事ですよね。FINDATは信頼できる情報を手際よく収集できますし、情報を深掘りしたり自己研鑽につなげたい場合にも、使いやすい窓口だと感じています。
業務の効率化や質の向上とともに、薬剤師としての成長にもFINDATが活用できそうです。
病院概要
- 名称
- 桑名市総合医療センター
- 所在地
- 三重県桑名市寿町3丁目11番地
- 開設年月日
- 平成24年4月
- 病床数
- 医療法許可病床400床(一般病床400床)
- 診療科目
- 内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内分泌内科、膠原病リウマチ内科、血液内科、脳神経内科、肝臓内科、腎臓内科、呼吸器内科、総合診療科、小児科、産婦人科、精神科、外科、消化器外科、乳腺外科、心臓血管外科、呼吸器外科、整形外科、リウマチ科、形成外科、脳神経外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、皮膚科、放射線科、歯科口腔外科、救急科、リハビリテーション科、病理診断科、麻酔科、在宅診療科