NTT東日本 関東病院 様
INTERVIEW
DI業務をはじめ、
薬学生の実習や教育でもFINDATを活用
もともとはフォーミュラリー作成やDI業務の効率化を図るためにFINDAT導入を決められたNTT東日本関東病院。
現在では、それに加え薬事委員会での資料作成、門前薬局への情報提供、薬学生の実習課題など、幅広い場面で活用されています。
今回は、FINDAT導入前後の業務効率の変化や具体的な活用方法などについて薬剤部の市橋孟先生に伺いました。
フォーミュラリー作成やDI業務の効率化を目指しFINDAT導入へ
FINDATをお知りになったきっかけを教えてください。
FINDATはフォーミュラリーの作成に役立つツールとして耳に入ってきました。当院ではすでにフォーミュラリーを作っていたのですが、DI担当が私を含め2名で、なかなか時間をかけられない状況だったので、FINDATを使って効率化できれば良いなと思いました。
また、まだまだフォーミュラリーは黎明期なので、FINDATがフォーミュラリーそのものを盛り上げるためにどのように役立つツールなのかと単純に気になっていましたね。
実際に導入に至った経緯や決め手は何だったのでしょうか?
1つはフォーミュラリー作成の効率化です。フォーミュラリーは経済性の話ではないと言いつつも、やはりある程度は薬剤費を安く抑えられるので、今後もフォーミュラリーを加速させていくうえでFINDATが必要だと考えました。
もう1つはDI業務の効率化です。FINDATの導入によって薬事委員会に向けた資料作成の時間や残業時間をどの程度減らせるか、つまり人件費をどの程度減らせるか試算し、導入コストよりメリットのほうが大きいと判断されました。
FINDATの導入で情報収集の効率化、情報に対する信頼度向上を実現
これまでのフォーミュラリー作成において大変だった点や、FINDAT導入後の変化があれば教えてください。
当院のような中小病院では、フォーミュラリーの作成に最小限の人員で着手する場合が多いです。当院でも私が1人で担当しています。
とくに大変だったのは、同種同効薬の薬効群の推奨リストや使い分けの指針を作るにあたって、根拠を集める作業です。これまでは国内外ガイドラインや、審査報告書、「UpToDate®」、「DRUGDEX®」など、一通りのデータベースを使っていましたが、同種同効薬を細かく比較した情報などはどこにでもあるわけではないので、手作りすることもありました。
FINDATは同種同効薬を表で比較できるので、根拠を集める時間は体感で今までの半分くらいになっているのではないかなと思います。
また、集めた根拠で本当に足りているのか漠然とした不安もありました。自分の意見が中心になるので、適正使用だと謳った部分が正しいのか判断がつきづらく、周囲も指摘しづらかったと思います。
FINDATのフォーミュラリーは外部の先生方に承認され中立的な立場で作られているので、意見として取り入れやすく、判断するうえでの自信にもつながりました。
標準フォーミュラリー以外で、よく使われる機能はありますか?
薬効群比較レビューと新薬評価ですね。薬効群比較レビューはフォーミュラリー作成でも使いますし、臨床医の先生方が使えるよう、電子カルテの端末に組み込んでいます。
中立的な文献の評価でレビューが作られているので、実臨床でも困ったときに議論のベースとして使えるものになっていると思いますね。
また、同種同効薬における代替薬の提案にも使っています。病院では採用薬や院内で調剤できる薬にも限りがあります。
そのため換算する際、目安があるか、目安はなく添付文書ベースで換算するのか、あるいは切り替えた際に何が必要で、どういった部分に気を付けなければいけないのかなどを確認しますが、添付文書では薬剤ごとに見比べなければいけません。
その際に薬効群比較レビューであれば比較表としてまとまっているので効率的ですし、中立的な根拠もあるので活用できると感じています。
薬事委員会に向けた資料作成、臨時採用薬の情報収集にもFINDATを活用
新薬評価はどのように活用いただいていますか?
主に月に1回ほど、薬事委員会で審議にかける資料を作る際に活用しています。薬事委員会は、基本的に採用薬を申請された診療科の先生に対して、薬剤部長が質疑応答を行う形式で進められます。事前に、薬剤部長から先生へ確認してほしい項目を記載した資料を渡しておくのですが、それを作る際にFINDATの新薬評価を参照しますね。
薬剤部長にとっても、FINDATの評価があると「やはりその評価で良いんだよね」と納得感が増しているように見受けられます。
FINDAT導入前は、薬剤部の先生方が一つずつ調べて評価を出されていたのでしょうか?
はい、一から十まで資料はすべてDIで作っていました。FINDAT導入で資料作成の時間も効率化できましたし、中立的な意見が反映されるのである程度自信をもって提出できるようになりましたね。
FINDATは日本語で親しみやすく、同種同効薬や新薬の情報検索においては、一番に検索し参照するようになりました。契約している他のデータベースとの使い分けもできてきました。
また、薬事委員会で話した内容は議事録をとり、薬剤部員や門前薬局へフィードバックして、病院としての考え方を伝えるようにしているのですが、そこにFINDATで得た情報を引用し、添付文書だけでは不足している部分を補うような使い方もしています。
新薬評価は臨時採用薬の情報収集にも活用いただいているそうですね。
はい。臨時採用薬は早ければ1日、2日で用意し調剤が必要になるうえ、メーカーさんとの調査の契約など手続きも多いので、薬剤の理解まで行き届くのに時間が足りないケースもありました。
しかし医療安全的にも何も情報がないままの調剤は怖いので、FINDAT導入後は新薬評価で重要な部分を引っ張ってまとめるようにしています。これまでは点在している情報を拾いに行くので時間がかかっていましたが、新薬評価から情報を拾えば良いので効率的です。
活用範囲は病棟や薬学生にも広がる
薬剤部以外でFINDATを活用される場面はありますか?
病棟の先生方も使えるようにしていて、実際にフォーミュラリーを作ってない薬効群で代替薬を提案する際に薬効群比較レビューを使ったという話を聞きました。
貴院ならではの活用方法として、FINDATを実習課題として活用していただいています。実習に使うことになった背景や効果を教えてください。
当院ではDI実習のなかである程度フリーで使える時間を設けて、最近のトピックスや実習中に気になったことを調べる時間に充てています。今回は適応追加についての資料を作ってもらうことにして、参考に審査報告書や添付文書を渡したのですが、解釈が難しかったようで学生さんも苦戦していて。
想定よりも時間がかかって大変そうだったので、FINDATの適応追加に関する資料を渡したところスムーズに進みました。資料の流れがすでにできているので、適応追加に対して何を考える必要があり、どのように評価したら良いかなど理解しやすかったようです。学生さんからも比較的良い評価で、印象に残ったという感想もありました。
今後のFINDATに期待することを教えてください。
色々な施設に導入されればハブとして扱われることになると思うので、DIのプラットフォームとしての立ち位置を確立してほしいです。
また、当院としては、年に4回薬剤部が主導して門前薬局と一緒に勉強会を行っており、このような活動を通して地域全体でDIリテラシーを高めたいと思っています。そこにもFINDATを活用できたら良いですね。
病院概要
- 名称
- NTT東日本 関東病院
- 所在地
- 東京都品川区東五反田5丁目9番22号
- 開設年月日
- 昭和27年1月
- 病床数
- 医療法許可病床594床(一般病棟544床 精神病棟50床)
- 診療科目
- 救急科、総合診療科、国際診療科、循環器内科、心臓血管外科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳血管内科、脳神経外科、脳神経内科、高血圧・腎臓内科、消化器内科、消化管内科、肝胆膵内科、糖尿病・内分泌内科、血液内科、リウマチ膠原病科、腫瘍内科、感染症内科、外科、整形外科、スポーツ整形外科、乳腺外科、形成外科、歯科口腔外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、精神神経科、心療内科、放射線科、麻酔科、集中治療科、ペインクリニック科、リハビリテーション科、緩和ケア科、病理診断科